ローストビーフの表示におもう

牛肉

ローストビーフの人気とこの先の動向については、別記事で述べましたが、
その中でも少し触れた表示の違いについて注目してみようとおもう、
このあたりは案外、肉のプロだから無関心、という内容かもしれません。

ローストビーフは、特定加熱食肉製品が多いです

また、訳のわからないようなことを言い出しました。
でも、このあたりのことも大切で、非常に気にしておられる方も多いので、あえて述べます。

ちなみに、ここでいうローストビーフというのは、お惣菜の売場で販売されている、「本日中に、お召し上がりください」というような商品ではなく、加工品として、しっかりとパックされたり、塊肉のまま真空パックされているような商品のこと(賞味期限が数週間以上)と考えてください。

ちなみに、「加熱食肉製品」があるということは「非加熱食肉製品」があるということです。
この違いは、簡単に言うと、
加熱殺菌の条件(温度および時間)や水分活性の違いなどにより加熱食肉製品、特定加熱食肉製品、非加熱食肉製品、乾燥食肉製品の4種類に大別されています。さらに加熱食肉製品は、「容器包装に入れた後、加熱殺菌したもの(包装後加熱)」と「加熱殺菌した後、容器包装に入れたもの(加熱後包装)」に分類されます。

さあ、さらにややこしくなってきたようですが、これ以上は踏み込みません。
昔は、ローストビーフというとは、惣菜として販売されているもの以外は、加熱食肉製品がほとんどで、かつハムに近いようなものでした。
しかしながら、より惣菜商品に近いような商品が求められ、特定加熱食肉製品へシフトしていった感じが強いです。

ただし、加熱食肉製品が本格的でなくハムのようだ、というわけではありません。
(更にいうなら、ハムが悪いわけでもないので誤解しないでください)
肉を扱うプロの会社が、和牛100%であえて加熱食肉製品を作っている会社もありますから。

加熱食肉製品と非加熱食肉製品がありますが、それぞれの優位性は

加熱食肉製品の優位性:

1.安全性:加熱により病原菌や寄生虫などの病原体を殺菌するため、食中毒リスクが低減されます。
2.消化しやすさ:加熱によりタンパク質が変性し、消化しやすくなります。
3.風味と食感:加熱により肉の風味が引き出され、また、肉の食感が改善されることがあります。
4.保存性:加熱により微生物の増殖が抑えられるため、非加熱食肉製品よりも長期間の保存が可能です。
5.多様性:煮込み料理、焼き肉、ローストなど、加熱法を変えることで様々な料理が楽しめます。

非加熱食肉製品の優位性:

1.栄養素の保存:加熱をしないため、栄養素や酵素が保持されます。
2.便利さ:調理不要で手軽に食べられるため、忙しい時やアウトドアなどで便利です。
3.風味の多様性:生ハム、サラミ、刺身などの非加熱食肉製品には独特の風味があります。
4.保存のしやすさ:冷蔵庫で保存が可能で、長期間の保存に適しています。
5.美観とテクスチャー:非加熱ならではの美しい見た目や食感を楽しむことができます。

加熱食肉製品と非加熱食肉製品は、それぞれの優位性により異なるシーンや好みに合わせて選択できます。
食肉製品を選ぶ際には、健康や安全性、料理のスタイル、保存方法、食感や風味を考慮すると良いということでしょう。

加熱食肉製品と非加熱食肉製品の人気商品を、なぜ人気なのか、どういう人に人気なのか見てみます。

加熱食肉製品の人気商品:

ローストチキン:家庭でのクリスマスやイベントで人気があります。ジューシーで風味豊かなチキンは、家族や友人との食事に最適です。
焼き鳥:居酒屋や屋台でよく見かける人気のある肉料理です。手軽に食べられる点と、ビールとの相性の良さが魅力的です。
ハンバーガー:ファストフードチェーンで広く愛される商品です。手軽に食べられる点と、具材の組み合わせの自由さが人気の秘密です。
煮込み料理(ビーフシチューなど):寒い季節に特に人気があります。柔らかく煮込まれた肉と野菜の相性が良く、心温まる味わいが魅力です。

それぞれの料理の特性や風味、文化的背景などが人々に愛される要因となっているようです。

非加熱食肉製品の人気商品:

生ハム:イタリア料理で一般的な生ハムは、上質な豚肉を塩漬けして熟成させた逸品です。洗練された味わいと特別感が人気の要因です。
サラミ:イタリアの伝統的なソーセージで、パーティーやワインとの相性が良いことから人気があります。様々な種類があり、食べ比べも楽しめます。
プロシュート:イタリアの乾燥熟成ハムで、塩と風にさらして熟成させることで深い味わいが生まれます。ワインやチーズとの相性が良いです。

料理の選択は個人の好みや食の嗜好によるものであり、多様性が食の楽しみを豊かにしてくれています。

特定加熱食肉製品と加熱食肉製品の違いは

最初の方にあります、「特定加熱食肉製品と加熱食肉製品の違い」について、最後に述べてみます。
食肉製品の規格基準では、①乾燥食肉製品、②非加熱食肉製品、③特定加熱食肉製品、④加熱食肉製品について、個別の製造基準が定められています。

今回の「特定加熱食肉製品」の「加熱食肉製品」の製造基準の違いは、
加熱食肉製品で、一般的なハムは中心温度が63度で30分以上または同等以上で加熱・殺菌します。

これに対して、特定加熱食肉製品は、加熱殺菌の温度と時間の基準は、中心部60℃の場合は12分以上必要となっていますし、特定加熱食肉製品に使用する原料肉を「肉塊」でなければならないとしており、加熱食肉製品には定めがありません。

特定加熱食肉製品は、中心部が低温で調理されることから、製造基準は、衛生管理上から原料肉を肉塊に限定するとともに調味料等も表面のみの塗布しか認めていません。
加熱食肉製品は、中心部まで十分な加熱殺菌が行われることから、原料肉や調味料の使用に特定加熱食肉製品のような制限はありません。
市販されているローストビーフには、特定加熱食肉製品と加熱食肉製品の両方があるというのは、こういうことがあるのです。

ここまで来ると、ということは、より本格的なのは、特定加熱食肉製品のローストビーフだね、こちらの方が良いものなんだ、と思うかもしれません。
これも、個人の好みや食の嗜好によるものがあり、また使用する料理によっても、向き不向きがあるわけで、一概には言えませんので、甲乙つけがたいということになるわけです。
最後の最後に、昔の言葉で、分かりにくくごめんなさい。

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