牛肉の希少部位、トモバラ編
牛のバラは、肩バラとトモバラにわかれますが、今回はトモバラについてです。
トモバラは、更に外バラと中バラにわかれます。いわゆる「カルビ」のメインとなる部位ですね。
その昔は、外バラを上バラ、中バラを並バラなどといった時期もありますが、今は外バラ、中バラが一般的です。
また、お寿司やうなぎではありませんが、上と並というとそこに、美味しさに違いがあったり、上質であったりというわけでもありませんから、誤解のないように(笑)
蛇足ですが、トモバラ、トモスネなどの「トモ」とは、後ろを意味します。
全体から言えば、その逆前は、「マエ」となりますから、ウデ・肩ロース・ロース・マエバラは、「マエ」となり、トモバラ・モモ・スネは、「トモ」となるわけです。忘れていました。マエスネは、前脚のスネですね。
ということで、胸から腹にかけて続く部分の肋骨(アバラ骨)についた肉が、トモバラで、肋骨の上側についたものが中バラ、下側についたものが外バラとなり、今回は、外バラと中バラの希少部位についてです。
トモバラの外バラ、その希少部位とは
外バラの希少部位には、中落ちカルビ、ささみ、ウチハラミなどがあります。
・中落ちカルビ(別名:ゲタ・ゲタカルビ)
中落ちカルビは肋骨と肋骨の間にある部位のことで、切り取った形が下駄(ゲタ)の形に似ていることから「ゲタカルビ」とも言われます。
場所柄、骨や皮、血管などをとり筋・繊維にも気をつけて作業をしなければならない部位ですから、職人にとっては手間のかかる部位でもあり、
あえて、提供しないお店も最近ではあります。
その反面、というよりはもう一つの理由とも言われるのが、中落ちの肉質でその牛の質が分かるといわれ、品質の違いや差の出やすい部位なので、お店にとっては、ごまかしがきかない怖さもあります。
脂がしっかり乗っていて、脂の濃さや肉の甘さも楽しめ、骨のそばなので、骨から出る旨みをたっぷり含んでいるのが特徴です。
・ささみ(別名:ササバラ・ササニク・タテ目)
ささみは、ソトバラの後ろモモの付け根にあり、後述する「カイノミ」の下側にある、バラの中でも特にキメの細やかさやサシの具合の良い特徴があります。
そのため、赤身とサシ(脂)のバランスがとても良く、バラならではの肉と脂のコクもしっかりと楽しめる部位となります。
サシのわりには、粘っこさはなく歯ごたえも良いので、焼肉屋さんでは、特上カルビとして提供されることも多いです。
個人的には、一部のお客様には、ステーキでの提供もおすすめしています。
・ウチハラミ(別名:インサイドスカート)
牛のバラ肉の内側で、横隔膜、ハラミ付近の腹横筋がウチハラミです。ハラミに近いようなバラ肉で、バラ肉のコク、ハラミのうま味がどちらも感じられるお肉です。カルビ、ヒレの中間的な部位といえるでしょうか。
インサイドスカートは、この部位のアメリカのカット規格「インサイドスカート」からきています。ハラミは、実はアウトサイドスカートと言われますから、くっついているわけではありませんが、対のような感じで、肉質もよくにています。
ご存知のようにハラミは、副産物=ホルモンなどと同じ、扱いですがインサイドスカートは正肉扱いとなります。
トモバラの中バラ、その希少部位とは
中バラにある希少部位といえば、カイノミですね。
カイノミとは
モモの付け根くらいにありヒレやサーロインと近い部分で、一部が貝の身の様な形をしていることからこの名前が付けられたカルビ(バラ肉)がこのカイノミです。
カルビにありながら、赤身と霜降りのバランスが良く、ヒレの赤身の旨みと柔らかさ感じることができる、カルビ(バラ肉)の中でも一番カルビらしくない部位です。
ヒレに近い部分なので、その柔らかさや風味は、厚切りにしても楽しめるので、焼肉ばかりでなく、ステーキとしても楽しめる人気部位です。
お得意様も、希少部位のステーキの一つとして提供されています、人気がありよく注文をいただけます。
但し、カイノミだけがほしい、とおっしゃるお客様もおられますが、そうすると他の中バラ部位をお買い求めいただけるお客様との関係で、高額での提供となってしまうため、できる限り中バラ全体の購入をお願いしています。
年齢や性別に関係なくどなたにも人気の部位ですから、一度は召し上がっていただきたい希少部位の一つです。
番外編、牛のカッパとは
お腹の皮と脂身の間の部分で、広背筋を「カッパ」とよぶことが多いようです。
バラ肉の一番外側に位置しますから、濃厚な味が特徴ですが、とにかく硬い部位なので、煮込みや佃煮の原料になることも多いです。
その硬さがいい、と言う方は、非常に薄切りにして焼いて食べる方もいらっしゃいます。
カッパとして、販売されていることは少ないですが、牛すじとして販売されていることはあります。
挑戦してみたい方は、お肉屋さんでお話されたら、とっておいてくれると思いますよ。
弊社の従業員の中にも、とにかくここを佃煮にするのが大好きな人もいますから、癖になるかもしれません!