お肉の美味しい揚げ方
食べるの好きだけど、作るのは苦手、嫌いという方も多いのが揚げもの料理です。
そのため、プロの方の出番も多い食べ物ですが、案外忘れがち?わかっていてもしない基本的なこともあります。
今回は、科学的?な視点から”揚げる”ということを見てみます。
お肉を揚げるということ
お肉を揚げるということは、揚げ油の中で食材を調理することです。
代表的には、トンカツや唐揚げなどが親しみやすい料理ですが、材料を油に入れると、材料の衣から水分が出て、そこに油が入り込むという水分と油分の入れ替わりが起こります。
お肉を美味しく揚げるには、この水分と油分の入れ替わりを、いかに上手に行うか、になります。
この入れ替わりがしっかりと行われると、サクサク、カラッと揚がります。逆に衣に水分が残っていると、べたっとした揚げ物になります。
そして、衣の中の素材・お肉は衣のなかで蒸されるように火を通されれば、ジューシーになります。
でも、この”揚げる”という調理法、食材の外側と内側では、温度差が大きくなることがあります。
特に、厚みがあったり、大きいもの、骨のあるものはその調理が難しくなるので、一工夫が必要です。
それが、揚げはじめと、仕上げの温度を変化させてやることになります。
これは、プロの中でもいろいろな意見があるでしょうが、基本は、はじめは低めの温度で、仕上げは高めの温度で揚げることが失敗の少ない上げ方となるでしょう。
お肉を揚げると、何が起こっているのか
さあ、科学的?な視点で、お肉の美味しい揚げ方を見てみます。
お肉を揚げると、何が起こっているのでしょう。どのような仕組み?動きになっているのか。
揚げ物を、揚げ油のはいった調理器に投入します、すると、
・衣がついている場合を考えますと、まずはその衣の表面から水分が出ます。
すると油の中に入った水分の大きな泡が出てきます、そのときは、音もします。
・しばらくすると、静かになります。これは衣の水分がなくなってきた合図。
このとき、お肉のタンパク質などが固まりはじめています。
・お肉は温められ、中の温度が上昇、タンパク質が固まってきているため、水分を放出します。
その放出された水分が、油の中で蒸発を始めると、また大きめの音がでだします。
・この状態から、調整が必要となります。
ジュシーに仕上げたいなら、まもなく油から取り出し、余熱で火を通します。
また、しっかりと火を通したいなら、そのまま揚げ続けます。
と、言うことで、油の音の変化に注意し、余熱をうまく利用することが必要なことのようですね。
音と余熱、これ、忘れてはならない、もう一つの揚げ物、天ぷらにも非常に大切な技術です。
食材により、同じ食材でもその品質により、大きく変わり経験が必要なものですが、意識をどこに置くかは大切なことですから意識はしたいですね。
ところで、この天ぷらですが、他の料理の中でも特に忘れてはならないのが、衣自体です。これが食材をしっかり覆った状態でないと、水分と油分の交換がうまくいかず、材料が蒸された状態になりません。
天ぷらは蒸し料理、という言葉があるくらいですから、衣もしっかりつけて揚げたいですね。衣作り方や上げ方も、以前教えて頂いたことがあります。機会があるときにまた書きますね。
お肉を美味しく揚げるポイント
最後は、お肉を美味しく揚げるポイントを整理していきましょう。
まずは、
・揚げ油は新しい新鮮なものを使いましょう
そして
・揚げる温度は、一度目は低めの温度で、二度目は高めの温度の二度揚げを使いましょう。
これにより、油切れも良くなり、食材の火の通りも調整しやすくなります。
ちなみに、参考までですが、
トンカツは、揚げはじめは160℃で4分、仕上げは180℃で1~2分(ロース肉2cmくらいの厚さのもの)
唐揚げは、揚げはじめは160℃で4分、仕上げは180℃で1分(鶏もも肉4cm角くらいに切ったもの)
・揚げる材料は、揚げ油の表面積の半分程度までにしましょう。
そうしないと油の温度が下がりすぎ、水分と油分の入れ替わりがうまくいきません。
・揚げるときの油の泡と音に注意しましょう。
最初は、衣の水分が蒸発するので大きな泡・大きめの音が出ていますが、衣の水分が減ると泡小さくなります。
次に泡がでて、音が出てくるのは、食材の中身からの水分です。