イノシシ肉・イノシシ料理について

イノシシ肉・イノシシ料理について
ジビエ

イノシシ肉を考える

現在、日本に棲息しているイノシシはニホンイノシシとリュウキュウイノシシの2種類しかいません。世界的に見れば、30種近い種類がいるようですが、大きく分ければアジアイノシシ・ヨーロッパイノシシ・インドイノシシになるようです。
ニホンイノシシは、本州はもちろん九州・四国・淡路島・小豆島に分布しているようですが、イノシシ肉は昔から高い価値があったようです。仏教が伝来し日本に受け入れられた奈良時代などは、獣肉食禁止令も出されていましたが、その肉質がクジラににていたこともあり「山鯨」などと言われ食されていたようです。
そして、獣肉食といえばつきものの「薬喰い]として江戸時代も食べられます。どんなにイノシシ肉が禁止されようが、様々な理由付けをして食べ続けられたわけです。江戸時代も終わりに近づいた頃には、獣肉を食べさせる店が、江戸にさえ10余軒ほどもあったと言われています。

イノシシ肉やシカ肉、ウサギなどを江戸時代に食べさせたお店を「ももんじ屋」とか「けだもの屋」などと言ったそうです。それは、体に毛が生えていて妖怪のように見えた動物たちを「ももんじゃ」と言ったことから由来しているらしいですが、やはりその時代、なかなか大ぴらに営業することはなく。先程の「山鯨」など隠語を看板に書いたり、戸や障子に牡丹の絵を書いたりして営業したようです。
なぜ、牡丹ということか、当然イノシシ肉の鍋を「ぼたん鍋」と言ったことからですが、この理由もいくつかあります。一つは、イノシシ肉が赤い肉の外側を白い脂肪のそうに縁取られお皿に並べたときに牡丹の花のように見えたという説。また、煮込んだ鍋に見える赤身と外れた脂身の白が牡丹のように見えたという説、花札におなじみの唐獅子牡丹からきているという説などがあります。

ところで、イノシシ肉は、どのような栄養があるのでしょうか?実は豚肉(ロース)と非常ににているのですが、なかでも鉄分・亜鉛・銅・ビタミンB2、B12は豚肉よりもイノシシ肉のほうが多く含んでいます。また、中性脂肪のもとにもなりやすい飽和脂肪酸は豚肉よりも少なく、アンチエイジングに影響があると言われる不飽和脂肪酸は多いというふれしい成分です。
また、肉質をみた場合は、イノシシ肉のほうが豚肉より硬めでキメが粗いですが味が濃厚で脂っこくないという特徴もあります。そのため脂ののった成獣は脂身を楽しみ、子イノシシは肉を楽しむなんてことを言う方もおられます。
獣肉特有の臭みがありますが、脂肪部分の甘みやうまみそして濃厚な赤身部分と一度は食べてみたほしいお肉でもあります。

イノシシ料理は、豚肉に近いと言われるだけあって、様々な料理へ応用範囲が広いです。

イノシシ料理といえば、やはり「ぼたん鍋」となりますが、味も豚肉に近いことやイノシシ料理の歴史が古いことから、煮込み料理・ハンバーグ・焼肉・すき焼き・唐揚げ・カレーなど応用範囲は非常に広いです。
現在は、ジビエブームなどもあり村おこしとして、イノシシ肉を様々な商品に加工したり、ふるさと納税の返礼に使ったり身近にもなりつつありますが、代表料理を3種上げておきます。
1.ぼたん鍋
・・・薄切りにしたイノシシ肉を味噌仕立てか醤油仕立ての鍋で、野菜類・きのこ類とともに煮ます。食べるときには溶き卵につけながら食べるのですが、この料理の一番良いことは煮込みすぎても、煮詰まっても美味しいということです。これは、イノシシ肉は、煮込めば煮込むほど柔らかく美味しくなるという特徴からです。

2.イノシシ肉の焼肉(バーベキュー)
・・・やわらかい部位は焼肉やバーベキューにも向いています。沖縄でよく食べられる、イノシシのステーキは、塩こしょうした肉と玉ねぎソースの相性が非常に良いようです。

3.イノシシ肉の佃煮
・・・ある意味ベタです??臭み消しの生姜を入れ、醤油ベースで煮込む、他の野菜を入れても良いでしょうが、保存食としても最適です。

臭みが気になる方も多いので、様々な料理には向きますが、味はしっかりつけた方が良いでしょう。そうすればイノシシ肉本来の旨みや食感を味わえること間違いなしです。

最後にイノシシ肉を調理するときの注意点を!
それは、しっかりと中まで火を通して寄生虫を死滅させる!ということです。
イノシシは、人に感染する寄生虫に感染している事が非常に多い動物です。調理をするときは、肉の中心部までしっかりと火を通すように注意してください。また、-20℃で48時間以上の凍結やゆでこぼしなどの加熱処理で寄生虫を死滅させることも可能です。

また、使った調理器具は必ず消毒することも忘れないでください。
イノシシ肉を処理する際には、使用する器具を使い分けることがベストです(まな板、包丁など)。使用するたびに、洗浄、消毒をして衛生面には注意してください。

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