ジビエへの思い、プロたちから聞いたお話

ジビエへの思い、プロたちから聞いたお話
ジビエ

シカの駆除と食肉への取り組みが早くから行われた長野県の課題

長野県においては農作物に被害を与えるシカの駆除について、害獣として駆除されるだけでなく、ジビエとして、食品として流通させるまでの流れに速くから取り組まれていたようです。
長野県ばかりでなく滋賀県、和歌山県といった日本の全国の山や田畑があるような場所では、シカやイノシシの農作物被害は各地で様々に深刻化した状況を生んでいます。しかしその中でも、駆除を受けたシカなどに対してそれを食資源として活用すると言う取り組みについては地区によってまだ様々な差があります。

その先駆的と言うことではないかもしれませんが、野生の駆除された鳥獣たちを解体する施設(そういった施設について各地保健所での許可が下りているわけですが)が存在するわけですが、進んでいる長野県といっても、衛生管理の統一などいろいろな部分で課題があり、施設はあっても十分に活用されていなかったりとその仕組みがうまく機能していないようです。
そのため、その向上の為に、日本ジビエ振興協議会から講師を招き、勉強会なども開催しているそうです。この勉強会では、衛生管理の問題はもちろん、いかに良い状態で捕獲された動物を解体処理するかの手順や流れも勉強されるそうです。

解体のプロは、例としてシカの解体について「シカ肉の劣化を防ぐには、止めを刺し、即時に放血と、できるだけ早く内臓を摘出することが肝心です。放血は適切に行えば15秒で抜けると言われますし、血を抜かないと肉に回って臭みが出る。内臓もどんどん熱をもっていくから、肉が焼けて味がおちます」と。
また、このプロの解体施設では、解体を進める各工程で殺菌作用のあるオゾン水を使いしっかりと洗浄しながら進めるそうです。
そして、肉は可能な限り細かく分割し、使い切ってもらうようにしているそうです、そこには「命をいただくのですから・・・」という気持ちがこもっています。

しかしながら、駆除動物のジビエ流通の仕組みの課題もあげておられました。
というのも、施設での解体は様々な費用がかかり、それが全て価格に反映される、しかし、取引される価格は下手をすれば昔の十分の一まで落ちている、まるっきりの個人ではやっていけないと。
町の補助ももらい、猟友会メンバーの協力をえてやっていけているという話に、各地域にも同様な問題がおこるのでしょうから、その自治体、施設、関係する人の努力により、ジビエを取り巻く環境は整っていくのだな、と感じた次第です。

シェフのジビエに対する考え方を変えたのは国産ジビエだった

シェフのジビエに対する考え方を変えたのは国産ジビエだった

あるシェフは、こんなお話をしてくれました。「輸入のジビエしか知らなかった時代には、熟成と腐敗の違いがわかりませんでした」、そのためジビエは熟成させなければいけないとして、日数をおき、まずくして提供していたと。
そして長野のジビエを食べたときその違いがわかり、素材の本当の美味しさを提供することができるようになったそうです。
日本では、ジビエの本当の味を知らない人が多いから、国産や輸入に関係なく本当の野生の素材の美味しさを伝えていきたいし、そのことがジビエの理解にもつながると思っていると。
そしてシェフとしては、ヨーロッパのジビエ文化を国産ジビエに落とし込み素材の美味しさを発信していくのが仕事であるともおしゃっていました。

また、猟師さんとは一緒に美味しいジビエを作り上げていっている、食材としてのクオリティーを上げていっているという感覚もあるそうです。なぜなら猟師さんは、野鳥獣の住む環境やどうその動物を仕留めればよいのか、止めはどうさせばよいかなど、動物のことはたくさんのことを知っているが、
料理はプロではないから、どうすれば良い食材に仕上げられるかなどは自分の仕事である。そこをお互いに共有することで高まっていけると考えているとのこと。
わかりやすく例をあげ説明してくれました、鳥を仕留めると猟師は、真っ先にその腸を抜く、でも料理人からすると鳥によっては腸をつけたまま熟成させたいものもある。またカモを仕留めるのに散弾銃をよく使うが、ムネ肉を傷つけてしまうことが多い、料理人からするとできるだけきれいに大きくムネ肉を取りたい、そこで猟師さんにお願いする。
すると上手な猟師さんは、空気銃を使いカモの目の後ろにある急所をきっちりと狙い仕留めてくれる、鴨肉という素材の価値も上がる、というわけです。

プロたちのジビエへの思いは熱く素晴らしいものです。自治体も関係していたり、地域の事情でなかなか同じようにはいかないところもあるでしょうが、人間の都合で動物たちの生命をとるという側面もあるので、できうる限りその生命を無駄にしないようにしていってもらいたいですね。
長野県の地域のように、猟師さん・解体処理を担当する方・料理人、関係する方たちがコミュニケーションをしっかりとれる地域はこれからもジビエ業界の?先頭をはしりより良い仕組みを作られることに期待したいです。

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