羊肉ブーム到来か?
羊肉輸入の自由化からはじまった第1次のブームからかぞえると
今回は第3次のブームになるのだろうか。
その背景は歴史の流れにおいて、いろいろな意味を持ちますが、今回のブームは、激しさはそれほどでもないが長めに続いているように思えます。
第4の肉といわれる羊肉(牛・豚・鶏に続き)、このブームどうなのか??
羊肉ブームは、どう変遷したか。
第1次の羊肉ブームは、昭和37年の羊肉の輸入自由化で安価な冷凍肉が
日本に輸入されるようになりもともと食文化として羊を食べる習慣のあった北海道で
花開きます。
ここには、観光と切っても切れない関係があります。
1960年代後半、北海道が観光ブームになり、北海道に行けば、サッポロビール園で
ジンギスカンの食べ放題、ビールの飲み放題を味わう、この流れがジンギスカンという羊料理を
日本全体に知らしめ、牛肉はもちろん、お肉全体が高かった時代に
格安の羊肉が食べられるようになったという感じでしょうか。
第2次羊肉ブーム、これはより「ジンギスカン色」の強いものといえます。
でも、背に腹は代えられない??ものあり、様々な企業の影響の強いものでもありました。
2000年代前半、BSEが発生し牛肉の消費が急激に落ちました。
消費マインドの低下に加え、輸入の中止もありそのことは、好調の焼肉店に激震を起こします。
そうです販売するお肉は少なくなり、お客様は減り、どうすればよいの?という感じでした。
しかし、そこに現れたのが??救世主羊肉、既存の施設を有効に活用し運営にも問題がない。
ジンギスカン専門店も多くでき、展開を変更する企業も多く出ました。
この頃は羊肉といってもあまりイメージがなかったので、「ジンギスカン店ブーム」として広がっていきました。
しかし、牛肉の輸入が再開すると、羊肉を宣伝する必要もなくなりブームは一気に落ち着いていきます。
但し、企業の宣伝効果が影響したブームですから、違った側面もありました。
それはヘルシーメニューという側面です。「Lカルニチンで太らない」という宣伝効果が、若い女性たちにも
ジンギスカンを広め、それまでより羊肉も一般的にはなったわけです。
今回の羊肉ブームは?
今回、第3次羊肉ブーム、2014年のひつじ年からスタートです。
細く長く?続いています。
今回の特徴は、より一般的なってきた羊肉を一般消費者が食べる機会が増えたためとも言えます。
ブームを起こそうとした人たちがいたというより、自然の流れが強いような気がします。
よって、ブームということが正しいのか?ですが、味や料理ではなく「素材」がブームになっている
ようにも思えます。羊肉という素材が一般的になってきたので、羊肉を食べる人が増え、それを扱う店舗、
小売店・飲食店が増え、また、認知が上がりより広まりがでる、そんな感じでしょうか。
ちなみに、日本には羊農家は少なく、輸入が当たり前になっています。
それも関税はゼロで、輸入国もフランス・アメリカ・アルゼンチンと増加していることも
より素材ブームを後押ししていることになるのかもしれません。
といっても日本の羊肉の輸入は、豪州は最大の輸入先国であり、2017年のシェアは59.6%を占め、
次いで、38.6%のニュージーランドが続くというシェアはあります。
話は、少しずれますが、仕事の関係でも中国人の方たちと交流する機会が20年くらい前から増えました。
羊肉というものへの馴染みは、その当時から日本人とは全然違いました。
行ったのは、北京・上海など都会エリアではありましたが、羊肉は、少し贅沢な主流の肉の一つであり、第4の肉といえば牛肉のこととなるでしょう。
日本で働いている中国のメンバーも、人が集まるイベントごとなどには、びっくりするくらいの量の羊肉を買って行くのが印象的でした。
これからの羊肉は
この先は、どうなっていくのか。
この細く長いブーム?は、ブームではなく普通になっていくのではと思います。
というのも、羊肉の大半を占める輸入量は、第2次ブームのころは3万トンを超えていましたが
近年は、2万トン前後が続いているのです。こういう観点からみてもブームというより、
日常になってきていると思えるのです。
消費量からみても、2019年1年間に、日本人の消費したお肉は、牛肉:6.5kg、豚肉:12.8kg、鶏肉:13.7.kgに対して、羊肉は、約200gです(食品需給表の供給純食料から)。ここから見ても、ブームではないといえるんでは。
しかしながら、この動きには、企業も黙ってはいませんから、いろいろな仕掛けをしてくるでしょう。
最大手のN社は、独自ブランドの羊肉を展開していくことを決めていますしはじめてもいます。
フォーラムを開いたり、様々な提案の場を設けてくるでしょう。
実際のところ、肉業界では、羊肉の取り扱いはN社が一番だと感じています。
色々な販売先があっても、元をたどればN社にいきつくみたいな感じでしょうか。
大手が消費拡大の潮流を作ろうとし、2大国を中心に世界の需給バランスにより安価安定の価格が実現し、
そこに世の中がついていけば?羊肉が第4の肉(牛肉・豚肉・鶏肉に続き)という立場を確立できるのでしょう。