黒豚、銘柄豚の代名詞の由来と秘密

黒豚、銘柄豚の代名詞の由来と秘密
豚肉

黒豚のはじまりは島豚でした

黒豚と言えばやはり銘柄豚の代名詞のように出てくるものではないでしょうか。
前述にもしましたが、現在の黒豚はバークシャー種の純粋種ですが、今日に至るまでにも黒豚の歴史があるのです。

江戸時代に遡れば、黒豚と言えば薩摩藩が、琉球(現在の沖縄)から鹿児島に導入した「真っ黒な島豚の俗称」でしたが、1609年に遡り当時は、この黒豚はサツマイモ等を飼料として育てられ、「歩く野菜」として食用にされていました。
黒豚の知名度が高まったのは幕末の頃ですが、水戸藩主の徳川斉昭に黒豚が献上された際に、その評価が非常に高かったことや、昨今益々人気のセゴドン、西郷隆盛が、この黒豚の野菜炒めのような料理が好きであった、と言うことなどが逸話とともに広まり知られるようになったようです。

現在の黒豚は、どう違うのでしょうか

前述の島豚である黒豚が、旧黒豚とするなら現在の黒豚は、新黒豚となるでしょう。
新黒豚は明治時代に全身黒毛のバークシャー種の養豚が始まり、ここを起源と言うべきかもしれません。
戦後、東京芝浦のと場にバークシャー種の黒豚が運ばれるようになり、その人気とともにこの毛の色から黒豚の名称が全国で有名となりました。
(この時代は、食肉の鮮度を保つため、いきたまま鹿児島からもわざわざ東京のと場に豚積車で運んだのです、豚ばかりでなく牛も、その長い道中で病気になったり、死んでしまうものもいました。
そんな時代をこえ、流通も変わっていったのです)

やがて、高度経済成長期には、黒豚の生産が追いつかないほどの人気となりました。
しかし、養豚農家にとって魅力のある、成長の早い大ヨークシャー種が導入されると、手間やコスト面から、生産性の低い黒豚は人気が急速に落ちていきました。

生産地である鹿児島への影響も大きく、県内での養豚を黒豚から白豚に移行しようと言う意見も出て大変な時代となりましたが、当時の鹿児島知事、金丸氏が、黒豚の存続を決断し旗振り役となり、しばらくは厳しい時代が続くことになりましたが、それでも、鹿児島の宝として黒豚は残りました。
そして、黒豚の低迷期が終わりをつげることになったのは、1980年代から、食への関心の高まりがあったからでした。そして1990年代にグルメブームが起こると黒豚のおいしさは再度見直され、我々のよく知る、最高の銘柄豚、黒豚と言う最高のブランドとしての地位が気づかれることになりました。

人気の裏には偽物の出現もありました

1990年代後半になると黒豚人気が、需要と供給のバランスが取れないほどになりました。そのことも影響にあったのでしょうが、いわいる偽物の鹿児島黒豚が市場に出回るという偽装問題があり、このブランドイメージを大きく崩すこととなりました。
これを機に、「黒豚」の定義を明確化、明記化が検討され、1999年食肉小売品質基準も改正、「黒豚」と表記できるのは、国内産・外国産に限らず、バークシャーの純粋種のみとなりました。
黒豚の筆頭にあがる、「かごしま黒豚」もこの年に、商標登録をされています。

記憶に残っていますが、20代前半の頃、まだお肉とは関係のない仕事をしていました。トンカツ屋さんで初めて食べた「かごしま黒豚」のヒレカツが美味しくて、自宅でも食べてみたくて探しました。ある百貨店の肉屋さんで売っているのを見つけて購入し、自宅に持って帰り母に調理してもらったところ、掛け離れた味⁇
その時に、友人に教えられたのが、この偽装問題で、確かに1980年代の終わり頃でした。
今は確信しています、あれは偽物だったと(笑)

黒豚と一般的に販売されている豚の違いは

黒豚と一般的に販売されている豚の違いは

最大の違いは脂質の割合が低く、筋肉繊維が細かいということとなるでしょう。
そのような体をつくるためには、飼育農家さんも大変です、普通の豚さんより2ヶ月以上長く飼育されます。
ただただ長く飼育すれば良いというものではありません、そこにバークシャー種ならではの発育の特徴と農家さんの技術により、キメの細やかな肉質となっていきます。

この違いが食感や味の違いにもなります。
黒豚の肉はキメが細かいのでやわらかく、食べやすく、また、肉の旨みもあります(肉にアミノ酸などの旨味成分が多く含まれているため)。いわゆる豚臭さもほとんどありません。
また、サツマイモを飼料としているので、脂肪の融ける温度が高いため、良質の脂肪がとけださず、旨みも逃げません。また、脂肪分がさっぱりしています。
まさに、鹿児島の風土にぴったりなお肉です。

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