お肉をかたくしないお肉の調理法

お肉をかたくしないお肉の調理法
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海外では、歯ごたえも肉の美味しさとして好まれることがありますが、お肉がかたいのを喜ぶ日本人は、少ないでしょう。
お肉=食肉は、いわば動物の筋肉です。当たり前のことかもしれませんが、そのことを理解すると、お肉をかたくしない調理法もわかりやすいかもしれませんね。

お肉がかたくなるのは、なぜでしょう

調理することによって、お肉がかたくなるのは、食肉に含くまれるタンパク質が調理される事によって変化し、
肉が収縮し肉汁(水分)が出てしまう、また肉の内部の脂肪も熱によって溶けてしまうことなどによる事が考えられます。

このことは、食肉である動物の筋肉がどのようにできているかを理解すれば科学的にも納得されるかもしれません。

お肉の調理法と、食肉=筋肉をつくる3つの筋肉タンパク質

ややこしい話になってきましたが、筋肉は筋原線維タンパク質、筋形質タンパク質、結合組織タンパク質でできています。

筋原線維タンパク質は、筋肉の約50%を占めるタンパク質で繊維状のタンパク質で、その種類には、ミオシン・アクチンなどがります。
筋形質タンパク質は、筋肉の約30%を占めるタンパク質で筋原線維の間にある筋しょうに存在します。ミオグロビン・ヘモグロビンなどがあり、解糖系酵素や色素タンパク質を含みます。
結合組織タンパク質は、筋肉の約20%を占めるタンパク質で、筋束(筋繊維の束)をつないだり、骨と筋肉をくっつけたりします。コラーゲンやエラスチンなどがあります。

では、このタンパク質がどのような調理方法によりお肉をかたくしたり影響を与えるのでしょう。
それは、筋原線維タンパク質は、肉の保水性や結着性と関連することで影響するということ。
また、結合組織タンパク質は(コラーゲンなどがありますが)、もともと強いものですが液体の中で長時間熱を加えるとゼラチン状になりお肉の柔らかさに影響をあたえるといったことがあります。

この3つのタンパク質以外にも筋肉の成分としては、わずかな糖質(グリコーゲンなど)と旨味成分(イノシン酸・グルタミン酸などが多少ながら存在しますが、ここでいうやわらかさには関係が薄いので、ここでは割愛いたします。

お肉のかたさとやわらかさ

食肉は、筋肉ともうしあげましたが、実は骨格筋です。
骨格筋は、骨にくっついていて骨を運動させる筋肉で、その成り立ちは細長い筋繊維とその筋繊維を束ねてつなぎあわせて結合組織、その中にある脂肪組織から成り立っています。
これが、上で申し上げた3つのタンパク質です。

ということで、例えばよく運動する場所は、筋繊維が太くなり、結合組織の結びつきも強くなり肉がかたくなります。すね肉などがかたいのはそのためなのです。
そのため、すね肉や肩肉などもとからかたい部位は、煮込み料理に適していますが、これは結合組織のコラーゲンの熱により変化に時間がかかるためとなります。

ややこしい言い方ですね、もともと肉質のかたい部位は、時間をかけて煮込むことで結合組織タンパク質が変化し柔らかくなるということですね。

お肉の肉質のかたさですが、運動の多少に関わる部位のほかにも、動物の年齢に関わることもあります。
というのも、動物の若いものは、筋原線維がやわらかく、熱を加えた際のコラーゲンのゼラチン化も早く起こります。しかしながら年をとると、その逆な現象がすすみお肉はかたさを増していきます。

お肉のかたさと調理温度

お肉のかたさと調理温度

お肉のかたさは、その調理温度とどのような関係があるのか、これは加熱温度と時間によってお肉の組織が変化することによっておきます。
タンパク質が加熱されることにより変化し、保水性の変化もおこるわけです。

筋原繊維タンパク質であるミオシンは約50℃、アクチンは70~80℃位で凝固しはじめます。
また、筋繊維の周りをおおっている筋膜=コラーゲンは、結合組織タンパク質ですが、これは長めの繊維で弾性が強いものですが、加熱することによって3分の1程度の長さになって弾性が落ちてしまいます。

これらタンパク質の変性が、肉をかたくし肉汁の外に出してしまいパサパサな状態へとつながってしまいます。

具体的に、お肉の組織が温度でどう変化するか、
30~50℃で、お肉の脂肪が溶け出します、脂肪のとける温度=融点は、動物や個体によって違いがありますが、これはそれぞれの脂肪に含まれる脂肪酸の割合の違いによります。
牛は、40~50℃、豚は33~46℃、鶏は30~32℃くらいと言われています。
これらの脂肪は、融点をむかえると溶け出し、肉の食感、なめらかさに影響します。

50~55℃で、筋原線維タンパク質が凝固しはじめます。このことは肉の締りにつながります。

60~65℃で、結合組織タンパク質コラーゲンが収縮します。60℃で収縮をはじめ、65℃で更に収縮し肉は急にかたさをまします。
コラーゲンを多く含むお肉では、この影響で、肉汁が急にたくさん出てしまい肉は縮みかたさをまします。

70℃~で、結合組織タンパク質コラーゲンが分解され、ゼラチン化をはじめます。このため肉はやわらかくなっていきます。
これは煮込み料理など時間をかけ煮込むことによってかたいお肉もやわらかくいただけるようになるということですが、結合組織によりかたまっていた筋原線維が、熱のためほぐれるためのやわらかさです。
この場合のやわらかいは、筋繊維は熱により水分を失ってしまいますが、コラーゲンのゼラチン化でジューシーさが加わったように感じるためで、肉汁による弾力感とは一線をかくすものでもあります。

最後になりますが、肉汁を楽しむ代表料理といえばステーキですが、ビーフステーキの場合の焼き加減と中心温度の関係を参考まで

ベリーレアは、ブルーレアとも言いますが、両面をサッと焼いた程度の焼き方、中心温度約45℃
レアは、ベリーレアよりはしっかり焼くが中央部分はほぼ生に近い焼き方、中心温度50~55℃
ミディアムは、ほぼ全体に火は通るが、中央に近づくにつれて半生のピンク色程度の焼き方、中心温度60~65℃
ウエルダンは、肉全体にしっかり火を通す焼き方、中心温度約70℃、程度となっています。
(レアとミディアムの間の、ミディアムレアやミディアムとウエルダンの間の、ミディアムウエルダンもありますが)

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