おいしい牛肉を作る(新しい和牛をつくる飼育方法)

おいしい牛肉を作る(新しい和牛をつくる飼育方法)
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放牧することで新しい和牛生産する

肥育方法は、牛舎にて子牛期、生後10ヵ月ぐらいまでに粗肥料を与え、その後の後半期には、濃厚飼料を与えて出荷まで調整をしていくと言うのが普通でした。
しかし今、九州大学などで研究されている牛の飼い方は少し違います。
それは、代謝生理的インプリンティング(刷り込み)という新しい概念を取り入れ、子牛期に、ミルクや濃厚飼料たくさん与えて肥満体質にし、栄養吸収能力を高めておくことから始めて、後半期には、放牧をするというものです。放牧という事は、牧草を食べるわけですが、子牛期の体質変更と、栄養吸収能力のアップにより牧草からしっかりと栄養を吸収することができる、放牧肥育みたいな感じになります。

このような放牧により、牛肉、特に赤身の部分に変化が起こります。赤身に適度な脂肪が入り込むことになり、牛肉の旨味が大きく引き立てられるという効果を発揮するのです。
牛舎で肥育する「ブロイラー型」ではなく、放牧方式の「地鶏型」肥育であり、いかに子牛の時に肥満体質を作るかがポイントです。牛舎ではなく、放牧をして肥育することによって肉質も変わる、まさに新しい和牛生産となるのでしょう。

おいしい牛肉であるばかりでなく、病気の予防も期待される牛肉

おいしい牛肉であるばかりでなく、病気の予防も期待される牛肉

以前ものべましたが、牛肉の味に影響を与えるものに、遊離アミノ酸やペプチドがありますが、牛肉の赤身には、そういった物資が多く含まれています。
この九州大学の研究である放牧により肥育された牛たちの牛肉を調べると、うま味成分のイノシシ酸が多くなり、筋肉内の脂肪は、20%程度の程よい数字を示したという事です。

そのうえに、この脂肪には、良質脂肪酸やベータカロテンなどのビタミン類も含まれていたと報告されています。

ベータカロテンは、人間の病気の予防に期待がされている物質ですし、その他の機能性物質、特に油に溶けやすい脂溶性のものが多く報告されています。
これも前述の放牧して肥育する新しい方法により、初期の成長段階で体質をコントロールをすれば、牛肉、特に赤身の中に脂肪組織が多く含ませることができる、そうすれば、脂溶性の機能性物質やビタミン類などの含有量も多くなり、食する我々人間の病気予防にもつながるのでは、と期待されています。
おいしい牛肉であるばかりでなく、病気予防にもつながるとなれば、そんなに素晴らしい牛肉はありませんね。

この放牧については、更に嬉しい研究成果も報告されています。それは牛肉中の成分カルニチンが増加するということです。
カルニチンは脂肪酸の燃焼を助ける成分であり、体脂肪の燃焼には大切な物質でもあります。
その上、カルニチンはスタミナ源であることも認識されており、ここにも新たな期待が高まります。なぜなら、脂肪をエネルギーにできるなら、より長時間の運動もできるし、その耐性も高まるのでは、ないでしょうか。

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