豚コレラに思う

豚コレラに思う
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豚コレラは、人に感染しない

豚コレラは、豚やイノシシがウィルスに感染し、発熱や下痢などの症状を起こします。感染力が強く、致死率も高いわけですが、人間には感染しませんし感染した豚を食べても人体には影響がないと言われています。
日本では、治療法は無く、 発生した場合の家畜業界への影響が甚大であることから家畜伝染病予防法で家畜伝染病に指定されています。
日本国内では、1888年に北海道にて初めて発生して以降大きな被害を出してきましたが、1969年にワクチンが開発されその後発生は激減しました。最後に1992年熊本県発生以降ワクチンを使わない防疫体制を確立を進めてきました。
その結果、2015年には国際獣疫事務局(OIE)の条件をみたし豚コレラに存在しない「清浄国」と認定も受けました。OIEの発表では、世界で見ると最近の発生は2016年の韓国において2箇所で発生して以来となります。

ちなみにアフリカ豚コレラもありますが、これは豚やいのししに感染する伝染病であり、発熱や全身の出血性病変を特徴とする致死率の高い伝染病ですが、ダニが媒介することや、感染畜等との直接的な接触により感染が拡大します。
こちらは、最近ロシヤや中国での続発が確認されていますが、今回はこちらではないことが確認されています。

豚コレラ、対応と今後の感染は

岐阜県岐阜市の養豚場で豚コレラが確認されたため、岐阜県は、養豚場から周囲半径10キロ圏内を「搬出制限区域」に指定し、区域内の3農場に圏外への豚の出荷を禁止したそうです。また、発生した養豚場では、感染拡大を防ぐため、同じ養豚場の豚546頭の殺処分され、敷地内で埋却や汚染物の処理を進め、養豚場の消毒作業をして防疫措置を終えるとのことです。
ただし、いまのところは、感染ルートは特定されておらず、県や国は養豚場への出入りや関係者の海外渡航歴などを調べ、感染原因の特定を進めているとのことです。また、国は、国内の豚肉や豚肉加工品の輸出を停止したそうです。
今後の感染は、県の対応などで拡大の可能性を少しでも下げたいところでしょうが、感染源、感染ルートの特定できないことなど安心はできないでしょう。なんといっても本来豚コレラのない国=洗浄国、で発生したわけですから心配はつきません。感染した豚やイノシシ同士の接触や、ウイルスが付着した飼料などからも感染するらしいが、可能性が高いのは何らかの形で海外から入ってきたウイルスではないだろうかと、県の担当者は推測しているそうです。

豚コレラ、風評被害への気がかりと今、思うこと。

日本全体の養豚関係者、特には岐阜県の養豚関係者は、発生理由を早急につきとめてほしいと思っておられるでしょう。それはそうです、こういうこと(畜産動物の病気の発生)がおこると、必ず風評被害というものが続きます、おおかれ少なかれです。
大きく見れば、流通関係、飲食関係にも及びます。日本の豚は香港やシンガポールなどに輸出されていますが、それも国がストップをかけました。こうなると相手国が許可してくれなければ輸出できません(香港は、岐阜県以外の受け入れを許可したそうです)。また、国内でも該当エリアの豚は敬遠されることでしょうし、下手をすると豚そのものの消費まで減ります。
これが風評被害のこわさです、人間心理として危ないなあ、と思うものは避けよう、違うもので代用しようと思うのも仕様のないことなのですが、関係者は、たまったものではありません、それこそ生活がかかっているわけです。でもそんなときに限って不確な情報やいい加減な噂が広がったりするので、追い打ちをかけたりします。その商品を使わない、という流れです。今回は豚肉ですが、豚肉を使わなくなると飲食店・小売店・市場・養豚場・輸送等々それに関わるところ全てに影響します。
だからこそ、情報は正確に分析・認識する、その情報源はどこなのかなども。また、憶測などでものを言わないことも大切だと思います。何気ない一言が、思わぬ反響や広がりをみせることもあります、SNSなど誰もが発信できる現代おいては特に注意したいことでもあります。

流通小売に長年関係してきたものとして、本当に不思議なくらい様々な反応が出ます、同じお肉の関係したことでいえば、BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザのとき、事故で言えば東日本大震災にともなう放射線物質の汚染のとき、風評被害がどれくらい大変なことや悲しい結末がおこしたか、記憶にあたらしいと思います。
やわら慌てず冷静に事実を受け止め判断する、その気持ですごしたいものですし、お肉も美味しくいただきます。
今回本当に迷惑なのは、豚かもしれません、人間の都合で育てられ殺される、私も同じ人間ですから同罪なのです。でも畜産関係の病気がクローズアップされるとき、命を奪われる動物たちがいる、それを含み我々は日頃からそのお肉を食べています。
我々は、いただいている、命をいただいているということを忘れずに日々感謝し無駄なく、余すことなく生活していきたいと思います。
そして、こういった病気の問題、災害などを見るたびに、人間も動物であることを思い、人智の及ばないものへの畏怖の念を抱かずにはおられないのです。

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