豚コレラ最新状況と市場への影響(2019/02/17) ニュース Post Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it 豚コレラの最新状況(2019/02/17) 昨年、豚コレラについて書いたのが9月、あの時点でも述べましたが、やはり先行きは不透明なままです。 現在のところ、「豚(とん)コレラ」の感染が岐阜県、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府の5府県に拡大していますが、感染経路などは今もってわかっていません。 豚コレラについては、ポイントだけ整理しておきますと、 豚コレラウイルスにより起こる豚、いのししの熱性伝染病で、強い伝染力と高い致死率が特徴。 感染豚は唾液、涙、糞尿中にウイルスを排泄し、感染豚や汚染物品等との接触等により感染が拡大する。 治療法は無く、発生した場合の家畜業界への影響が甚大であることから、家畜伝染病予防法の中で家畜伝染病に指定されている。 世界各国に分布しているが、北米、オーストラリア、スウェーデン等では清浄化を達成している。 また、豚やいのししの病気であって人に感染することはなく、仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べても人体に影響はありません。また、感染豚の肉が市場に出回ることはありません。 ここのところでは、豚コレラが見つかった愛知県豊田市の養豚場から、出荷された大阪府内の養豚場や愛知県田原市の養豚団地で殺処分が開始されましたが、田原市に至っては16施設、1万5千頭の殺処分です、豚は当然ながら、施設に関係する人々も災害要請を受けて実際に殺処分する陸上自衛隊の人々もやりきれないことでしょう。 最初は、かなり悪者になっていた、豊田市の養豚場ですが、飼育方法や行政への報告も問題がなかったということで少し安心しています。 というのも、この養豚場、私の友人の知り合いの会社で、どうなることかと心配していたからです。 近代的な養豚場で3階建てのビルのような、あまりみない施設でどちらかというと、外部との遮断は普通の養豚場よりもしっかりされていたようなので、ここにも今回の感染の未だ見えない恐ろしさがあります。 豚コレラの、我々の生活に対する影響は、どうなるか お肉を扱う仕事柄、豚コレラの影響は、日々様々な取引先にお話を聞きますが、今までのところ各取引先ともに大きな影響はないと応えてくれます。 ただし、その次に「今のところの規模では」とつき、この先の広がりについて懸念材料があるようです。 とは言うものの、昨年9月に26年ぶりに豚コレラが確認されてから、本来相場が上がる年末年始などの時期にでも豚の相場は大きく上がることはなく、推移してきました、というよりも例年より安いくらいでしたが、今週は、関東・東海エリアを中心に少し価格が上がりました。 実際この先の状況は、不透明であります。 現在、何万頭もの豚が殺処分をうけても、日本全国から見れば、出荷数量的には、大きな影響は出ない、ある意味微々たる影響のようです。 ただ、これが増えていけば、需給バランスが崩れるのみならず、子豚が少なくなれば普通なら出荷される時期(食肉用の豚は生後180日齢、体重が105kgくらいで出荷されます)に、その数が激減する可能性もあり、今だけの問題ではありませんので、目が話せない状況は続きます。 なぜ、豚コレラワクチンを、解禁しないのか 豚コレラは発症すれば治療法はありません、それならば、あらかじめ豚にワクチンを接種すれば予防は可能になるでしょう。 被害拡大を食い止めるため、感染地域や周辺で飼われている豚に広くワクチンを使うべきではないか、との意見が出ています。 しかしながら、農林水産省はその使用を認めていません。なぜでしょうか? これには、豚肉の輸出に対する問題が一番大きいようです。 なぜなら、いったん国内でワクチンが使用されれば、国際ルールにより豚コレラの「清浄国」とはみなされなくなり、海外に豚肉を輸出できなくなる可能性が高くなるからです。 実際のところ、経済的なメリットは大きく、ワクチン代や接種に伴う費用などで生産コストを上げることがありません。 また、豚コレラ汚染国からの豚肉などの輸入を禁止するとともに、わが国から豚肉などを海外へ輸出することも可能となり、経済的には大きなメリットがあるわけです。 それ以外にも農林水産省は、ワクチンを使うようになると、動物の養豚場への侵入を防ぐ網を設置するといった本来必要な農家の対策など衛生管理が不十分になりかねないといってもいます。 ワクチンを使わないことは、正しいのか間違っているのかわかりません。すごく難しい問題だと思います。 でも、一番の心配は、感染がさらに拡大することで、感染ルートなどの解明と感染の拡大の時間の問題かもしれません。 豚コレラの先に、更に恐ろしいアフリカ豚コレラ(ASF)があるのか アフリカ豚コレラ(ASF)は、豚コレラとは全く違う病気です。 アフリカ豚コレラは、アフリカ豚コレラウイルスが豚やいのししに感染する伝染病であり、発熱や全身の出血性病変を特徴とする致死率の高い伝染病です。 そして、ダニが媒介することや、感染畜等との直接的な接触により感染が拡大します。 日本では、まだこの病気は発生が確認されていず、この病気の清浄国ですが、海外からの侵入は許すわけにはいかないものです。 この病気には、有効なワクチンは存在しないという大きな問題点があります。 それが最近の外国の事例でもみてとれますが、中国でのASFの広がり方がそうです。 ロシアや欧州で発生していたASFが、アジアで初めて確認されたのは、2018年8月で中国東北部・遼寧省の農場でした。 47頭が死に、農場周辺や関係先の1万9千頭超を殺処分をし蔓延の防止策が取られましたが、約半年で少なくとも25省市区の122カ所に感染が拡大し、殺処分は91万頭以上にのぼっています。 今年1月には、隣になるモンゴルの農場でもASFの発生が確認、拡大していますから、 これを日本に入れるわけにはいかないでしょう。 一度はいってしまうと、その猛威は予測もつかず、殺処分の痛手はもちろん、事業再開までに相当な時間がかかるだろうし、地域の食肉処理場や飼料関連の業界、物流業者まで影響を受けるのではないか、 とさえ心配の声が上がっています。 そういった意味でも、各関連事業者の皆さんには、ワクチンに頼らず、衛生管理の対策の徹底が求められている現状もあります。 Post Share Hatena Pocket RSS feedly Pin it ニュース お肉のための赤ワイン(フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディ編) お肉の下処理について ピックアップ記事 ビジネス 肉屋さんの売上を上げる方法(算数編) ビジネス ビジネス 最近人気のハンバーグ ビジネス ビジネス 精肉売場で「売れ筋」が止まる理由と改善のヒント ビジネス 関連記事一覧 ニュース 豚コレラに思う ニュース 個体識別番号のもつ力? ニュース 肉の輸入自由化が、我々に与える様々な影響とは ニュース フードテックとは ニュース 食品添加物とハム・ソーセージ等(食肉加工品)の関係 ニュース ユーゴ・デノワイエの真髄 ニュース 鳥インフルエンザの影響 ニュース おいしい牛肉を作る(新しい和牛をつくる飼育方法)