ハム・ソーセージ等の保存料について

ハム・ソーセージ等の保存料について
さまざまな素材

保存料は、食品の腐敗や変敗の原因となる微生物の増殖を抑制し、保存性を高める食品添加物です。微生物を殺すことを目的とした殺菌剤とは違いますので念のため。
保存料の実態や効力、目に見えない・目に見えるリスクを見てみようと思います。

ハム・ソーセージ等の保存料、その正体は

ハム・ソーセージ等(食肉加工品)の保存料には、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムが使われます。
ソルビン酸は、ナナカマドの未成熟果汁中に存在するため、「ソルビン酸」の名はこのナナカマドの学名 Sorbus commixta からつけられたといわれます。

現在は、化学的合成品が使用されています。抗菌力はあまり強力ではありませんが、水によく溶け、カビ、酵母、細菌と幅広い効き方をするため、さまざまな食品に用いられています。
ソルビン酸は、ハム・ソーセージ等の他にも、チーズ、魚肉ねり製品、魚介乾製品、つくだ煮、煮豆、しょう油漬、こうじ漬などにも使用されます。

ハム・ソーセージ等の保存料の効果・役割

ハム・ソーセージ等の保存料、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムは、微生物の増殖による腐敗、保存性を高めるためにつかわれますが、菌類の菌数に大きく影響を受けるため、菌数が多いときには効果があまり出ません。
カビ、好気性菌、酵母などの増殖を抑制しますが、菌数に影響を受ける関係上、原料の豚肉、デンプン、香辛料などの副原料には汚染度の少ないものを使うことが大切ですし、製造工程での汚染防止も注意が必要になります。

また、ハム・ソーセージ等の保存料は、酸性状態でその保存効果を強く発揮するので、ph調整も必要になります。
そのために、フマル酸、グルコノデルタラクトンなどの有機酸をph調整剤として使用し、phが低い状態を作りその活動をフォローします。

また、現在、多くのメーカーでは、保存料を使わずに製造する商品を作っていますので、開封後の保存には注意し早く食べてほしいです。

ハム・ソーセージ等の保存料の見えないリスクは

ハム・ソーセージ等の保存料の見えないリスクは

保存料を使用しないでハム・ソーセージ等をつくるということは、化学的合成品を体に入れることがないので、その安全性は高まるといえる。
しかしながら、保存料を使用しないその安全性は、保存性も下げてしまうので、すぐに腐敗したり、食中毒のリスクも高まってしまうということも言えます。

また、「保存料無添加」の商品、パッケージには保存料の記載がなくても、ソルビン酸の代わりに日持ち向上剤を使用してる場合も多い。
日持ち向上剤は、指定の保存料が含まれていないため、商品パッケージは記載する必要がなく「保存料無添加」といえます。
表示のマジック?のようにも思えますが、ルールに則ったものなのです。

しかし、「保存料無添加」の商品に見えても、日持ち向上剤は、保存料と同様に微生物の増殖を抑え、食品の腐敗を防ぐが、その効力が弱いため、保存料よりも多く添加しなくてはならず、本当にそれが良いのか?という思いもあります。

※日持向上剤とは
短期間の腐敗・変敗を抑え、食中毒などを防止する目的で使用されている食品添加物を主剤とする製剤です。

※製品に対する表示について、

食品添加物は、物質名の他に用途名を併記するように定められています。 例)保存料(ソルビン酸)
それに対し日持向上剤は、保存料と比べると効力が弱いことから区別されており、物質名表記のみとなっています。例)グリシン、酢酸Na

これ以外に、pH調整剤、膨脹剤などのように、一括名による表示が認められているものもあります。
これらは、通常複数の食品添加物の組み合わせにで機能するようなものや、常に食品にも存在するようなもので、個々の成分を表示する必要性が少ないと考えられるようなものです。

ハム・ソーセージ等の保存料のリスクは

食品安全委員会が平成26年に発表した「食品添加物のリスク評価」によると、ソルビン酸の1日摂取許容量(ADI)は、25mg/kg体重/日となっっています。
体重が60kgの人なら1日あたり1500mgまでが許容量となるわけです。

食品安全委員会は、ADIについて、動物の健康に悪影響を与えない最も多い量に、安全係数1/100をかけた数値と定めており、人が一生の間、毎日摂取し続けても健康に影響しない量と言ってます。
現実に、上記の体重60kgの人がこの許容量を取ろうとすると、ソルビン酸の使用制限最大作ったロースハムを750gくらい食べることにはなります。
この数字がどうか、ということについても、見方で考察は変わるとおもいますので、あえてその評価は書かずに終わります。

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