熟成肉の熟成とは、昔からある氷温熟成とは

熟成肉の熟成とは、昔からある氷温熟成とは
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熟成でおいしさを引き出された肉、それが熟成肉

家畜が出荷され、と畜されると、最初は体・筋肉はやわらかいが、その後、死後硬直がはじまりかたくなります。
この時点では、その肉はかたいだけで、風味もなくおいしいとは程遠い状態にあります。

それがその後決められた温度で一定期間の貯蔵をおこなうと、肉はやわらかくなってきて、風味も良くなってきます。
これは、筋肉に含まれるタンパク質分解酵素などの働きによりますが、この過程を熟成といいます。
そして、熟成でおいしさを引き出された肉、それが熟成肉というわけです。

熟成肉というと、特に多くは牛肉で語られるますが、牛肉の場合は、遊離アミノ酸のグルタミン酸ナトリウムが重要となってきます。
グルタミン酸ナトリウムというと、一昔前には必ずどの家庭にもあったと言われる食塩の代わりに?に使う{味の○}などうま味調味料の主要成分でもあります。
このグルタミン酸は、世界でも超有名ですが、ある言葉の生みの親?でもあり、その言葉を「umami」といいます(笑)

「うま味」のことですが、この言葉、今では世界共通にと通用するといわれますが、もともとは、東京帝国大学・池田菊苗博士が、日本で古くから使われている昆布だし、
この昆布だしになにか秘密があるとして、その味の正体を明らかにする研究を行ったことから始まります。
そして1908年、昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功し、グルタミン酸が昆布だしの主成分であることを断定、その味を「うま味」と名づけたわけです。

「うま味」の物質として「グルタミン酸」以外にも、核酸関連物質の「イノシン酸」「グアニル酸」などが知られています。
熟成は、うま味がましたことでもあり、このような物質に大きく関係しているわけです。
おいしさを引き出すのに必要な時間は、2℃で貯蔵することを前提にすると、牛肉で10~15日、豚肉で4~6日、鶏肉は1~2日程度と言われています。

熟成香とはどんな香りなのか

牛肉を中心に考えると、と畜後の牛肉は生臭いような香りが気になりますが、熟成するに従いその生臭さがなくなり、違った香りがするようになります。
その香りは甘いミルクのような香りが言われ、香りだけではなく味にも関係があります。と言うのも、この甘いミルクのような香りの原因は、遊離アミノ酸やペプチドなどが増加して生まれるものであり、さらに熟成が進むと生牛肉熟成後香と言う熟成肉ならではの香りを出すようになってきます。

この香りは、バルミトレイン酸、オレイン酸などを原料にして作られる香りだと言われていますが、肉質なかでも赤身と脂身のうまく入った部分に増殖する細菌が、作っているようです。
この香りは、生だけでなく加熱した状態でも熟成した牛肉から感じられることもあり、牛肉のおいしさを決める大切な要因と考えられてもいます。

氷温熟成とはどのような技術でしょうか

氷温熟成とはどのような技術でしょうか

熟成には様々な方法がありますが、最近1番話題になるのは、ドライエイジングです。これについては、また別の機会に詳しく取り組みますが、今回は様々な食材で別の注目を集めている、氷温熟成について見てみます。
氷温熟成とは、摂氏0度以下でも凍らずに細胞が生き続けれる温度である氷温(冷蔵でも冷凍でもない第三の温度領域)で行う熟成方法のことを言います。いわゆる寒ざらし、寒仕込み等と同じような原理で行われます。
(野菜や果物、魚や肉などの食品は水と違って0℃では凍りません。食品はそれぞれ凍り始める温度が違うからで、この0℃以下からそれぞれのものが凍り始める温度(氷結点)までの温度領域を氷温域と言うそうです)

氷温熟成では約1ヵ月間熟成した豚肉が市場に出回っていますが、うまみ成分のアミノ酸が増加しやらかくて甘いおいしい豚肉になるようです。

その他にも氷温熟成は違った食材の加工にもたくさん使われています。氷温協会というものがあり、氷温技術の普及啓発、氷温技術の調査研究、氷温技術の事業化への促進などをされていて、たくさんの商品や活用技術が生まれているそうです。
お肉・野菜・魚などの生鮮食品、お味噌、だし、パン、コーヒーなど様々な食品に使われていますが、最近(平成30年)に認定されたものには、近江牛・飛騨牛などを氷温熟成することにより、脂の口どけが良く、肉質がやわらかくし、うま味が強くなるというものや、
氷温熟成豚、氷温熟成ジビエ肉のようなものもあるようです。

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